2022-2023シーズン。ついにこの選手が引退を決断しました。
日本スケート界に大きなインパクトを残し、唯一無二の存在感でファンを盛り上げてくれた、横井ゆは菜選手。
今回は親しみを込めてあえて「ゆは菜ちゃん」と呼ばせてください。
ジュニア時代からシニアラストシーズンまでたくさんのプログラムを巧みに操り、表現してきたゆは菜ちゃん。
ファンやテレビサイドからは「女優」と呼ばれるほどゆは菜ちゃんのスケートにはゆは菜ちゃんだけの世界観がありました。
今回はそんな「女優・横井ゆは菜」をたくさん振り返るために、シーズン単位で振り返らずに、プログラムをひとつひとつ振り返りたいと思います。
全部のプログラムをご紹介できればと思ったのですが、ジュニア初期だったりノービスの頃のプログラムはすみませんまだわからないので、私が見てきたシーズンのプログラムを私個人の目線で書いていけたらと思います。
- サウンド・オブ・ミュージック
- マラゲーニャ
- ライオン・キング
- バーレスク
- オペラ座の怪人
- 黒い十人の女
- なんでもないや
- トムとジェリー
- クイーンメドレー
- Kalandéro
- ハンガリー狂詩曲
- ゆは菜ちゃんへ
サウンド・オブ・ミュージック
2015-2017シーズンのSPです。
私がゆは菜ちゃんのプログラムで初めて見たプログラムです。
この時から、メディアの方々から「表現力がすごい」「鈴木明子2世」などたくさん言われていたのが懐かしいです。
中京のSpokenだったかな?邦和組のスケーターが出演していたのをよくYouTubeで見たり、ミライモンスターに出ていたのを見たり。
なにかと印象深いプログラムなのです。
このプログラムは、当時15歳16歳の女子スケーターとは思えない世界観の強さ。ステップではゆは菜ちゃん自身が歌いながらステップを踏んでいて、この選手結構好きだなと思った記憶です。
YouTubeなどには動画が残っていないので、自分でテレビ放送のDVDを探してこれないと見れないのですが、当時は何度も何度も見返しては好きだなって思ってました。
ちょうど自分が吹奏楽を初めて2年くらいしたころで、少しずつ自分も「表現」について考えていくんだろうなという時期に少ししか年齢が変わらないのにここまで表現できるんだ!すごいな!って思ったのがゆは菜ちゃんでした。
ゆは菜ちゃんの演技のおかげで原作の映画を見て映画にもドはまりし、狂ったように何度も何度も見て歌うたいながら見ていました。
素晴らしい映画にも出会わせてくれたゆは菜ちゃん本当にありがとう。
マラゲーニャ
2015-2016シーズンFS & 2021-2022シーズンSP
まずは2015-2016シーズンのほうから。
15歳でここまでフラメンコを表現できるなんて本当に素晴らしすぎる。
当時の頃はあまりよくわからずただ見ていましたが、少し自分も年齢を重ねてから見てみるとやっぱり、群を抜いている。
目線、フラメンコの特徴でもある指と手首の使い方、表情。当時のジュニア勢だった選手と比べるとやはり色っぽさもあってどこか危険な香りを感じさせるのがうまい。
例として本田真凜ちゃんも当時から表現がうまい選手ではありましたが、ゆは菜ちゃんのような危うさ艶やかさは出せなかったと思うし、二人の表現は私もどちらも好きだが真逆の存在のように感じる。
後述する「なんでもないや」は真凜ちゃんなんかが演技したらめちゃくちゃ似合う雰囲気だが、ゆは菜ちゃんはそれさえも表現させ見事に体現した。
その点からもやはりゆは菜ちゃんには「女優」という言葉が似合うのだとこのプログラムを見ると再認識します。
2021-2022シーズンのマラゲーニャについて今度は語っていこう。
ゆは菜ちゃんもお気に入りと話していたFSのマラゲーニャを今度はSPで曲も少し変わったり前の時と同じ曲を使ったりとFSのマラゲーニャとは全く別物のプログラムに仕上がっている。
このシーズンはジャンプに苦しんでいたためあまり点数が伸びなかった印象がやはり残ってしまいますが、表現は進化しているんです!!!!!!!
やはりジャンプが決まると心も身体もグッと気持ちよく滑れると思うんです。
人生も同じじゃないですか。(唐突)
でも逆に決まらないときは落ち込んですこし憂いが出ると思うんです。表情にも。
ゆは菜ちゃんはそう感じさせない。身体もめっちゃ動くし、表情も憂いは少し出るけど悲しすぎる表情にはならない。
その少しの憂いが逆に色気がでてマラゲーニャの雰囲気とちょっと怪しい感じがさらにグッと世界観を強くしていて。
あぁ、ゆは菜ちゃんすっごいうまくなったなって思うんです。
やはり同じプログラムを使うと成長がよく感じられますよね。
ステップ前にちょっと止まって手をくるっとする振付みなさん覚えてますかね?
あそこのゆは菜ちゃんの表情がすごくいい!!すごく色っぽくて少しニヤッとするところがいいんですよ~!!
髪が少し乱れて顔にかかっているところも世界観に似合ってて好きです!(たまたまだろうけど)
ジャンプには苦しんだかもしれないけど、ジャンプだけがフィギュアスケートじゃない。それを感じたのがSPのマラゲーニャでした。めちゃくちゃ好きです!
この時から伊藤さんに衣装をお願いしていて、この時の赤と黒の衣装の感じがもう最高すぎてめちゃくちゃ最高衣装でした。ゆは菜ちゃんの美人度がさらにアップしてました。
ライオン・キング
2017-2019シーズンSP。衣装は個人的には2018-2019シーズンのほうが好きです。
このプログラムはゆは菜ちゃんを一気に日本のトップスケーターに押し上げたといっても過言ではないプログラムだなと思っています。
ゆは菜ちゃんの魅力の一つであるダイナミックなジャンプが曲の壮大さに合わさって見事に素晴らしいプログラムに仕上がったなと思います。
2017-2018シーズンの時はまだ若干粗があったりしてそのあたりも「野生」を感じていたのですが、2018-2019シーズンはジャンプが安定してきて、スケーティングにも磨きがかかり一気に至高プログラムになったなという印象です。
レイバックスピンの時の手で何かを手繰り寄せるような振り付けがあったり、細かい部分に工夫が凝らされているのを感じます。
表情がぐっと大人っぽくなり、力強さが少しずつ出てきている時期にこのプログラムを用意したコーチ陣素晴らしいなと思います。
今でもたまに見返すとゆは菜ちゃんのダイナミックさにすっきりさせられます笑
バーレスク
2016-2018シーズンFS。
みなさんご存じ全日本でのラスト2A-3T-2Tからの特大ガッツポーズのバーレスクです。
本当にあれはすごかったですね。テレビの前ですごい衝撃を受けたのを覚えています。
2016-2017シーズンは全日本ジュニアで3Aにチャレンジしていたりとバーレスクのゆは菜ちゃんには意外と思い入れがあったりします。
クリスティーナ・アギレラの力強い歌声にも負けないゆは菜ちゃんのギラギラでかわいらしい笑顔が忘れられません。
ゆは菜ちゃんの笑顔あふれる性格が相まってかわいらしくてよかったですね。
2シーズン使いましたが2シーズン目には世界ジュニアにも行きましたからね!
特に出だしの表情が個人的にはお気に入りで、目に魅かれる。なかなかないことです。
やっぱゆは菜ちゃんうまいよな表情作るの~!って見るたびに思います。
ラストジャンプの配置も完璧。一番曲が盛り上がるとこにステップを持ってきて最後に一気に盛り上がるところで2Aからの三連続を持ってきてラストのポーズに持っていく。完璧すぎますよ。
ステップ中の笑顔も最高にかわいらしくて大好きです!!
ゆは菜ちゃんのスケーターとしての成長はこのプログラムがあったからこそなんじゃないかと思います。
オペラ座の怪人
2018-2020シーズンFS
このプログラムは2シーズン使いましたが、2018-2019シーズンはファントム中心。2019-2020シーズンはクリスティーヌ中心とプログラムにおいての表現の仕方が変わるんですよね。
衣装もファントムとクリスティーヌで一気に変わるので衣装が変わるだけでもやっぱり見え方って変わるんだなと。視覚からも楽しめるプログラムなんじゃないかなと思います。ある意味画期的だなと思います。
個人的にはファントムがめっちゃかっこよくて好きで…。でも表現面ではクリスティーヌが好きでってとにかく選べないんです。
ファントムはゆは菜ちゃんの力強さも感じられるし、クリスティーヌはゆは菜ちゃんのやさしさとスケートに対する思いのようなものまで勝手に感じ取れてしまって…。
特にクリスティーヌは表現が本当に成長したなと思うんです。
今まで柔らかい表現が少なかったゆは菜ちゃんがこんなにも柔らかい表情で滑っていて、しかもこの時のSPのイメージが「悪女」ですよ?
マジでおったまげでした。(?)
黒い十人の女
2019-2020シーズンSP。
「女優・横井ゆは菜」の真骨頂プログラム。
私は、このプログラムこそゆは菜ちゃんの女優が光っているんですよ。
ファンの皆さんならわかりますよね??(圧)
冒頭からラストまでずっと悪女なの強すぎませんか?
途中のお化粧のマイム。あれほどいいマイムは見たことがない。
表情までニヤッとするマイムは初めて見た。あれはゾクッと来る。
フィンランディア杯からNHK杯まではポニーテール。全日本からはお団子だったんですけど、個人的にはポニーテール派です。
その方が髪の荒ぶりが出ていて最高に女の争い感が出ていて素晴らしいんですよ。
あと、途中からなくなってしまいましたが最後のジャンプの前に手を叩く振り付けもよかったですよね。あれがカットされちゃったのは残念でした。
しかし、やっぱりこの黒い十人の女というプログラムはゆは菜ちゃんにもよく似合っているし、ゆは菜ちゃんの新しい世界を見れたような気がして、このプログラムは語っても語り切れないなと思います。笑
女優・横井ゆは菜の最高傑作且つゆは菜ちゃんの新しい魅力が光った最高のプログラムだなと感じます!!それだけは言いたかった!!!
なんでもないや
2020-2021シーズンSP。
今までのゆは菜ちゃんの路線とは違い、柔らかく、儚い印象のプログラム。
初めて見たのはいつだったかな?中部選手権だったかな。
そのときからずっと好きで。NHK杯でのガッツポーズを先輩スケーターにいじられたり笑
今までは悪女だったり結構盛り上がるような気の強い系統が主人公の曲が多かったのですが、ここで柔らかい雰囲気の曲にチャレンジしてきました。
衣装も素晴らしかったですし、髪型もめっちゃ可愛かったです。
シーズン序盤は苦しみましたが、シーズン後半の試合では素晴らしい演技が多く毎度毎度見惚れていたのを思い出します。
普段やらない系統の曲を演じるとどこか似合ってないなと感じてしまうことも見ている側からするとあることもあるのですが、そこを感じさせない。横井ゆは菜の世界に引き込み、横井ゆは菜のなんでもないやとして魅せつけて、表現する。さすが「女優」なんだなと感じさせられるプログラムです。
コロナ禍のシーズンでもあったので国際大会での披露がなかったので披露の数もそこまで多くなかったプログラムではあったのですが、忘れないでいただきたいプログラムです。
トムとジェリー
2020-2021シーズンFS。
これぞ横井ゆは菜!!ゆは菜ちゃんの明るい性格を思う存分に引き出したゆは菜ちゃんにしかできないプログラム。
これをやろうと思うスケーターはなかなかいないでしょう。
はじめて新プロがトムとジェリーと聞いたときは脳内が?でいっぱいになりましたね。
どんな曲なの?トムとジェリーってスケートで使う曲だったの?衣装はどんなのになるの?とたくさんの?でいっぱいになりました。
いざ見てみるとまず曲はトムとジェリーの曲のオーケストラ演奏の曲。
衣装は指揮者風というかタキシ最初から最後まで最後までゆは菜ちゃんのコミカルな雰囲気と元気ハツラツな感じでこちらが笑顔になるようなプログラム!
演技を見た後にもやはりこのプログラムをできるのは世界でたった一人。横井ゆは菜しかいないだろうという結論に至りました。
友野一希くんにも似合いそうなのでいつかやってほしかったりします。笑
さすがチーム頑張るで!というような二人の雰囲気が似てるのと二人ともエンターテイナーなので一希くん、エキシビでもいいのでやってみてほしいです…笑
クイーンメドレー
2021-2022シーズンFS。
オリンピックシーズンにこの曲をやろう。と思えるのはゆは菜ちゃんだけだなと感じます。
ゆは菜ちゃんの力強い表現とパワー。大きなジャンプが光っていますし、「We Will Rock You」のパートではゆは菜ちゃんらしい笑顔がキラキラしていて、見ているこっちも手拍子をついしたくなってしまうような、そんな楽しい時間が流れていました。
四大陸選手権は宮原選手の代打として初の出場になりましたが、本当に素晴らしいFSで、バイト終わりに地下道で歩きながら感動したのを覚えています。(地下道でFOD見て歩くな)
このプログラムはほんとに見てると元気が出てくるプログラムで、完全に「ゆは菜ワールド」そのものでした。
メーテレさんの村上佳菜子さん、山田満知子先生のおしゃべりフィギュアの時に満知子先生が言っていたように「すべてがゆは菜」まさにそのものだったと思います。
このプログラムの時のゆは菜ちゃんはいつも演技が終わると「出し切った!!」そんな表情をいつもしていたなと感じます。
ゆは菜ちゃん渾身のクイーンメドレー。現地で見てみたかったです。
Kalandéro
2022-2023シーズンSP。
今までゆは菜ちゃんのプログラムで一番好きだったのは「黒い十人の女」だったのですが、ここにきてトップを塗り替えたのがこのプログラムです。
DOIの時点でまず衣装がすごいと私の脳内で話題に上がり、中部選手権でしっかりとみれたのかな?度肝を抜かれましたね。
人などの生き物ではない何か。初めて聞いたときはなんだろう?と思っていたものが今こうして演技になって現れている。すごい!!!と一気にゆは菜ちゃんのプログラムナンバーワンに輝いちゃったのです。衣装もゴールドだし。笑
特にステップに入るところのドラムのところで手を叩いたりする振り付けが大好きでよく真似しようとするのですがまだうまくいっておりません。笑
そう、このステップで語りたいのは「人工物」ではない、「天然物」なのです。
大地、海、空、風、木々あらゆる自然のエネルギーをこのプログラムからは感じ取れるのです。まさに野生を感じるんです。最高なのです。
この曲を聴くとシルクドソレイユでもあるので、本郷理華さんの「キダム」を思い出すのですが、どちらも不思議な世界観を見事に体現して見せたスケーターさんたちです。
どちらも邦和出身スケーター。鈴木明子さんの遺伝子を受け継いだなぁと感じますね。
本当に素晴らしいプログラムです。ここまでこの曲を表現できるのはさすがとしか言えないです。
ハンガリー狂詩曲
2022-2023シーズンFS。
「クラシックっておもしろいよね」を伝えたいというゆは菜ちゃんの思いが詰まった現役最後のFS。
鈴木明子さん振付の個性が強いとっても面白いプログラム!!
実は鈴木明子さんもバイオリンアレンジでこの曲を使っているんですよね。あのTwitterで手拍子の話題が出ると必ず思い出す2011年NHK杯のアッコちゃん…。
あの曲が大好きだったので、ゆは菜ちゃんもこの曲使うんだと知ったときすごくうれしくなりましたね。
ピアノの軽くて跳ねちゃいそうなところに跳ねる振付があったり、あとはやっぱり冒頭の手を広げる振付、うまく伝えるのが難しいのですが、ジャジャ~ンっと低音がなったときのかがんでやる振付です。
その振付がところどころに出てきて、面白いなぁと思いましたし、アッコちゃんの振付師としての技量がすごいなと感じました。
コレオのハイドロの時に手を上においでおいで(?)する振付がかわいらしくていつもマネしてピョイッピョイッとやってます笑
最初から最後までクラシックなのにクラシックを感じさせない振付で、ただキレイなだけじゃないところがちゃんとゆは菜ちゃんがこのプログラムに込めた思いがちゃんと伝わっているんだなってすごく感じました。
選曲もゆは菜ちゃんらしくて、この曲を選んでくるのか~!!っていう楽しみもこれで終わりなのかと思うと寂しいですね。
ゆは菜ちゃんへ
ゆは菜ちゃんにはたくさん言いたいことがありすぎます。笑
2015年頃の邦和特集のSpokenでゆは菜ちゃんを見つけ、全日本でゆは菜ちゃんを初めて見て、ミライモンスターでゆは菜ちゃんを見て。応援したいなと思ったのを覚えています。
そこからいろんなプログラムを表情豊かに演じてくれたゆは菜ちゃんは今の日本女子には欠かせない存在感のある選手でした。
来季から「女優・横井ゆは菜」がいないのかと思うとやっぱりさみしいなと思ってしまいます。
SNSでもいろんな角度で楽しませてくれたゆは菜ちゃん。就職してもゆは菜ちゃんのSNSの更新をちょっとだけ楽しみにしています。笑
もうすぐ知事杯。ゆは菜ちゃんの引退ももうすこし。
語彙力があまりにも低くて、プログラムの良さを全然伝えられてないと思うのですが、ゆは菜ちゃんの演技ってすごいんだぞ!!っていうのが伝わっていればいいなと思います。
ゆは菜ちゃん、長い長いスケート人生お疲れさまでした。これからのゆは菜ちゃんの人生にたくさんの幸せと笑顔がありますように。
ゆは菜ちゃん、本当にありがとう!!!!!